jeudi, novembre 17, 2005

アレンさんがやって来た。[Ota]

「わたしたちがつくったもの」のページでも紹介している『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の著者、アレン・ネルソンさんが講演のために来日していると、日本での活動のお世話をしている写真家の嬉野さんか連絡があった。アレンさんは戦争の真の姿を伝えるために、子どもたちに向けた講演活動を各地でおこなっているのだ。
 一度、世田谷の小学校でのアレンさんの講演を聴いたことがあるが、子どもたちがアレンさんの話から戦争というものの無慈悲、無意味に率直に反応する姿は少しく感動的だった。近代国家のフィクション性を暴くものとしては、戦争の前線と、たとえば眠気を誘うような東京郊外の住宅地をぢかに結びつける想像力が必要かもしれないが、アレンさんの言葉は、そんな直截の危険に満ちている。
 教室で、「戦争で人を確実に殺すにはどこを撃てばいいでしょうか?」と、アレンさんは子どもたちに問いかける。子どもたちは元気よく手を挙げ、「心臓です」「頭です」と無邪気に答える。すると、アレンさんが解答を言う。「下腹部です。なぜなら、命中しやすいからです。でも、1発では死にません。何発も何発も撃って確実に殺すのです」
 アレンさんの話は、そんなふうに、18歳の少年だった彼が、海兵隊のキャンプで教わった殺人のノウハウを伝えることから始まる。そして、ベトナム戦争で、自分が何をしたかに話が及ぶ。
 そうやって平和な午後の教室がベトナム戦争の地獄に接続される。
 グルジェフが弟子とともにロシア革命の戦火から逃れたとき、彼は「戦争こそ人間の狂気の最たるものだ」と言ったという。あまりにステレオタイプな言葉に思われるかもしれないが、わたしたちはみな日常的に狂っているとすれば、いかにもグルジェフらしい言葉だと思う。
 さて、そのアレンさんがささやかなライブを行うという。彼は歌がとってもうまいのだ。
 11月19日、土曜夜の午後7時30分開演。11時まで何度かにわけてブルースを歌うそうだ。場所は「oran(オラン)」(世田谷区赤堤1-43-1 経堂スカイマンション1F 電話5301-2188)。
 アレンさんに会いに行ってみませんか? 僕もちょっとの間しかいることはできないのだが、彼の渋い歌声を久しぶりに聴きに行ってくるつもりだ。

太田穣