Bring it on home to me [Ota]
先週の土曜夜、アレン・ネルソンさんのライブに行ってきた。
アレンさんがギターとハープ。バックはギターとドラム。
1曲目は『Bring It Home To Me』。司会の方がサム・クックのナンバーだと言っていたけれど、僕は、中学生の頃、エリック・バードンとアニマルズのレコードでこの曲を聴いていた。
アレンさんと僕とは世代が少しだけ近い。
僕が小学校の映画鑑賞会でベトナム戦争を告発するドキュメントを観たとき、アレンさんはすでにその映画で描かれていたジャングルの中にいた。僕が10歳ぐらいのときだから、そのときの彼はおそらく18歳か、19歳だろう。
僕は小学校高学年の頃から、いわゆる「洋楽ポップス」ばかりを聴いていたから、アレンさんと音楽の話をすると、同じ曲を同じ時代に聴いてしびれていたことがわかってとても面白かったのだ。
いま、イラク戦争のニュースが毎日流れるように、あのころは朝のテレビのニュースにはベトナムでの出来事が必ず映し出されていた。ベトナム戦争は日本人の最大関心事でもあった。それは日本国内の米軍基地が重要な働きをしていたからだけでなく、人々が、今よりももっと「道義」というものを自分自身に突きつけられた問題として考えていたからなような気もする。
ところが目前のイラク戦争においては、自衛隊が当地に赴き、片足を突っこんでいるにもかかわらず、それは「道義」の問題ではなく、「自分たちがテロの標的になるかならないか」というローカルな恐れの問題として語られているように思える。
……If you ever change your mind
About leaving, leaving me behind
Oh, bring it to me, bring your sweet loving
Bring it on home to me, oh yeah
『Bring It Home To Me』はちょっと切ない恋の歌だ。
中学生の僕は田舎の小さな家の狭い部屋で、安物のプレーヤーのスピーカーに耳をつけんばかりにして、そして大音量でこの曲を聴いていた。そのころのアレンさんは、ベトナムからニューヨークに帰還したばかりだったろうか。帰国した彼は国家の英雄から一転してホームレスとなった。唯一の財産はラジオだったという。そのラジオで、僕が聴いたのと同じどんな曲を聴いたのだろう。

←僕が持っているエリック・バードンのベスト。反戦ソングでもある名曲『San Franciscan Nights』も入っている。
太田穣


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