lundi, novembre 28, 2005

そこまでやるか!? ポリティカリー・コレクト[Hitoshi Oba]

 寄席にもあまり行ったことがないし、独演会も柳家小三治の会に数回出かけたことがあるくらいで、とても胸を張って「私は落語ファンです」といえるような者ではないのだが、それでも時々CDを買ったりはする。
 あまりに定番なので恥ずかしいのだが、やはり多いのは「ゴッド・オブ・落語」こと古今亭志ん生。あの妙に甲高い声を私は密かに「幸せの声」と呼んでいる。どんなに屈託している時でも志ん生の声を思い出せば、まあ、なんとかなるさ、と思えるような気がするのだ。
 ところが最近とんでもないことに気付いたのである。
 問題のCDはポニー・キャニオンの「古今亭志ん生名演集」全50巻。なんとジャケット裏に「一部不適切な用語は、編集処理しております」と書いてあるのだ! まあ、いわゆる差別語、メク○とかキチ○イなんかのことだろうと思うんですけどね。初めはカッとしましたよ。国宝ともいえる志ん生の音源に、たかがレコード屋風情が(←こちらも興奮して「差別的」になっている)「適切な処理をしました」だぁ!? 続いて、ゲンナリさせられました。もう世の中って、こういうことになっているのね。
 編集プロダクションに二十年以上いたので、それなりに「差別語教育」は受けているし、すごく偉い作家や先生が同和団体などにつるし上げられて大変な目に合ったという話も知っている。しかしCD(しかも昭和三十年代の音源)までとは……。
 過剰な「自主規制」って、いったい何の役に立っているのでしょう? 抜本的な解決にまるでなってないことは確かだと思うのだけれど。ここまで書いて力が抜けた。
 文楽じゃないけど「勉強して出直して参ります」……

大場仁史