「はてしない物語」論-3[Ota]
「はてしない物語」──つまり、匿名の無数の人々によって紡がれる集合的な、そして原則として終わりのない物語。そのインターフェースは次のようなものになるだろう。
一つの断片は文字数200字程度。それが1枚の紙に記される。
発端は絶対だ。変えることはできない。その発端の200字が書かれた紙が虚空に浮かんでいる。最初の書き手はこの紙をクリックする。すると、その発端の1 枚目が手前に移動し、その背後に2枚の紙が並んで現れる。書き手はどちらかの紙を選択し、そして物語を書く。200字以内で。
書く行為はこの連 続だ。書くためには物語の先端、枝の先に行く必要がある。最後は必ず1枚の紙となる。その背後には虚空がある。最後の1枚、あるいは先端の1枚をクリック すると、白紙の紙が2枚出てくる。どちらかを選択して書くのだ。もし、先客がいたなら、2枚の紙のうちのどちらかに、彼の書き記したものが表示されている ことになる。すると、おのずと残った1枚の白紙のほうを選択することになる。あるいはまた、その書き記してあるほうの断片を選択し、その続きを書くかであ る。そちらを選択すれば、また、新たに白紙が2枚並んで現れる。
書くためのインターフェースはシンプルだし、それほど難しいものではない。たいへんなのは、巨大なツリー構造になっている物語をどのように表示するかだ。
おそらく3Dのファインダー・タイプのインターフェースがベースとなる。つまり、空中に紙が整然とツリー状に立ち並んでいるのだ。その空間を自在に読者は さ迷うことができる。ただし、そこにはルールが必要だ。それはワープを禁じるということ。だから、現実の都市をさ迷うことに似て、1本の道に入ったなら、 そこから出るには道の入り口まで戻らなければいけないということだ。
まず、この空間的なインターフェースが基礎的なものとして一つある。
これだけでは足らない。ツリー構造の全貌を俯瞰するインターフェースが必要だ。これも単純に鳥瞰図でよいのだ。ただし、その鳥瞰図の中の樹木の枝は、その スレッドに応じて、色彩が変化している。無限のスペクトルをつくらなければならないほどに、微細に変化させないと、色数が足りなくなるに違いない。
そのツリーのノードとなるところにマウスを持って行くと、紙がポップアップして物語の断片が現れる。これをクリックすれば、3Dファインダー式のインターフェースに変わる。
以上が基礎的なアイデアである。だが、もちろん、これだけではツリー状のデータベースの閲覧を二つのしかたでするだけのことだ。カードを1枚1枚めくりな がら読むか、カードを全部並べて、ここらへんを調べようとあてずっぽうで読むかだ。だが、この「はてしない物語」は、もっと生々しくあるべきだ。新宿歌舞 伎町のように、危険や猥雑さが染み出て発光するような、そんな生々しさが必要だ。そのためにはどんなインターフェースが必要なのか。これについては、ま た、あとで。
それからもう一つの課題。
ツリー状の物語の場合、当然のことだが、そこに無意識のうちに時間の流れが忍び込む。発端が過 去で枝の先が現在だ。たとえ、発端より過去のことを語っていたとしても、それは「現在において過去を語る」わけで、時が逆流するわけではない。だが、僕 は、時制も空間の束縛も越えた物語を読んでみたいのだ。それにはこの体系をリゾーム状にする必要がある。そうすることで時間の流れが破壊されるのだ。
少しずつ、このアイデアについても書き続けていこうと思う。きょうはこのへんで。

←これはMac用のFinderscapeというアプリケーションだが、僕の考えるインターフェースはこのような3次元ブラウザーがベースだ。それにしても、このワイアーフレームのデザインはいただけないなあ。
太田穣


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