恋をするなら [Miyuki Shoji]
そうだったのか。血だったのか、ガード下好きは。
以前、「飲みに行きましょ」と言ってよく誘ってくれたイケメン編集者Aさん。多岐にわたる話題はすばらしく、盛り上がらなかったためしはないのだが、毎回、高そうでとっても趣味がよくておしゃれでトレンディな店に連れていってくれるのでほとほと参った。
そりゃ麻布十番や北青山のはずれにあるような、雑誌に紹介される前のこじゃれた飲み屋さん、たまにはいいですよ。大皿の中ほどにちょっぴりこんもり盛られて出される京野菜のサラダをつついたり、世界各国から取り寄せたおいしい塩が10数種類もメニューに載っている日本酒専門店などに行ったりすれば、楽しくないわけはない。
だけどだけど私が一番好きなのは、妹同様、オヤジがたむろするような安くて旨い店。黙っているとまずハイボールが出てくるとか、モツ煮やマグロブツやハムカツが名物だとか、ワインといったら一升瓶から注がれるとか、いわば縄のれんな感じがタマランのである。屋台で韓国のドブロクがざんぶり出される、なんてのもイケてるぞ。たとえ結婚式の二次会でドレスアップしていたって、喜んで行きますよ、そういった店とあれば。
面白がってAさんについてまわっていたせいでそのうち“大人のカンケイ”に誘われてしまったので、「ゴメンナサイ」したところAさん、「今までお連れした店は、非常に吟味したものであった」旨おっしゃった。
純粋にびっくり。
毎回印象深い店だったのだから選ぶのに苦労していないわけはないのに全然そうとも気づきませんで、Aさんにはその時、心から申しわけなく思った。
女性というものが一般に、高そうでとっても趣味がよくておしゃれでトレンディな飲み屋さんが好きなのか、あるいはAさんが私をそう誤解していただけなのかはいまだ詳らかならずだが、私(アンド妹)を口説くなら、バッチくておいしい店に連れていくほうがいいだろう。女性にお金をつかうバブリーなクセが抜けない方なら、清潔でいなせな下町の鮨屋あたりで手を打とうじゃないか(我ながらゴーマンだなぁ。まっこれ読んでおごってくれる御仁もいないだろうから、ハハッ、好きなこと書いちゃえ)。
つい先週のこと、カナダの片田舎に住む知り合いの若夫婦が世界旅行で日本に寄った際、家に1週間ほど泊まっていったのだが、「お礼に」といって、京都のノミの市で楽焼の抹茶碗を探してきてくれたのと、休みの朝にダンナが焼くという、スコーンの簡素版みたいな、甘くないサクサクビスケットを早起きして作ってくれたのには心打たれた。
二人は事前にうちの小さな食器棚に気をつけていたらしく、安いけど気に入って使っている唐津や備前、土っぽい若い作家ものなどを見て「こういうのが好きそうだ」と考えて決めたと思われる茶碗はしっくりした気持ちのいい作品で、彼らの旅行ぶりからいって高いものであるはずもないけれど、こういう気遣いなら、たとえそれが500円だろうと50万円だろうと関係なく、とてもうれしくありがたいものだ。
そんなわけで、安い縄のれんならどこでもいいわけではなくて、「いやぁここは旨いから是非」という、愛情のこもったお誘いのみ受けつけ中です。
反対に居酒屋「みゆき」にいらしていただいた折には、もろきゅう、そら豆、トマトスライスなんぞを召し上がっていただいている間に、ちゃんと得意の肉じゃがの肉抜き(ってジャガだけじゃん)や厚揚げとワカメの炊き合わせ、モヤシ入り醤油焼きそばなんぞをご用意させていただきます。おいしいよ♪
庄司みゆき


1 Comments:
Your are Nice. And so is your site! Maybe you need some more pictures. Will return in the near future.
»
Enregistrer un commentaire
<< Home