ミクロの決死圏 [Miyuki Shoji]
寒くなると温泉が恋しくなる。が、そうそう湯治に行けるわけもないので、とりあえずは毎日、きちんとお風呂に浸かる事にしております。
世間では今、デトックス(排毒)というのが注目されているが、それだけ多くの人が、毒素がからだに溜まっていることを自覚しているからであろうか。
生活のあらゆる場面に隠れている毒。何も酒と煙草だけではない。食品への化学添加物は言うに及ばず、化粧品やら薬やらに入れてある保存料、歯磨き剤や洗剤に必ずといっていいほど添加されている合成界面活性剤、海水のよごれをたっぷり吸いこんだ大型魚(食物連鎖のトップに近いほど蓄積するわけだから)や、土の疲れや化学肥料などの汚染を同じくたっぷり吸いこんだ野菜たちに入っている、有害ミネラルに重金属……。
これ以上挙げていると気が重くなるばかりなのでやめておくが、要は、100年前にはなかった毒が私たちのまわりに売るほどザックザクあって、もともと人間にそなわっている解毒能力をはるかに超える量になっているため、しかたなく体内に蓄積している一方、という状況なのである。
たとえば花粉症やらアトピーやらの人は「原因不明」などと言われたり、劇薬めいた薬を処方されていたりするが、調べてみるとじつは、体内に水銀などがしこたま溜まっている場合がほとんどらしい。だから、「予兆もなく、ある年突然発症する」と恐れられている花粉症だって、結局は、体内に徐々に毒が溜まっていて、ある時からだのメーターが振りきれて、鼻水、発熱、涙などになって現れているに過ぎない。
じゃあ、毒が溜まらないように排出していれば病気にならずに済む!
その通りで理屈は簡単なんだけど、何しろ私たちは毎日毒をからだに入れているものだから、なかなか話は進まない。
アンチエイジング・クリニックに行って、キレーション(毒素をつかまえて排出してくれる治療液を、点滴で体内に入れるという、科学の勝利的手法)をばんばんやってもらうのがもっとも確実かつ有効だと言われているが、なかなか高価な方法なので、そうそう誰でもというわけにはいかない。
そこで登場するのが、お風呂である。
重病人でないなら、玉川温泉まで出かけて皮膚が剥けるほどの酸性湯に浸かったり吹雪の中でテントを張って岩盤浴したりするまでもなく、家お風呂を体温より少し高いくらいにして、30分でも1時間でも浸かっているだけでOK。
入ったとき「温まりそうもないな……」というくらいのぬるめの湯でも、30~40分、まったりと本でも読んでいるうちに不思議と汗が出てくる。皮脂腺が開いて出た汗だからねっとりしているはず。毒が中に溶け込んだ、脂肪の汗が出た瞬間である!
何しろ毒を含んでいるわけなので、汗が出てきたらすぐに浴槽を出て、タオルでからだを拭きましょう。そこで湯船に浸かったら、またお湯が汚れてしまう(拭いたらまた入っても大丈夫だけど、汗がダラダラ出ているようなら、しばらくからだでも洗ってね)。
普通にスポーツでかく汗だと水分が多くてサラサラしているので、毒はほとんど溶け出さないそうだ。
お忙しい皆さんも、ぜひお風呂でデトックスしましょう。決してムダな時間にならないことは確かです。免疫力が復活し、タイトルコピーはひらめくわ、校正もはかどるわでいいことづくめ、のはず。
ただしこの方法、ハッと我に返ると浴槽に本が落下しておりページが全部くっついてしまうため、大切な本はお風呂に持ちこまないようご注意ください。
庄司みゆき


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