vendredi, août 11, 2006

乱丁亭日乗[Hitoshi Oba]

 タイトルにたいした意味はありません。ただ、最近の本ではほとんど見かけませんよね。
 流石のオーバも乱丁のある本は作ったことがないと思う(多分……。大丈夫だろうな、ホント?)。
 昔の本を古本屋で買うと、たま〜にスゴいのがありますけど、やっぱり世の中、進んでいるんですね。

某月某日
 オヤヂ囲碁大会に出席。成績は敢えて秘す。会が六時過ぎに終わって外に出るとまだ明るい。同席のY様に誘
っていただいて、新宿の碁席Sに。結局、水割りなんか飲みながら翌日の始発まで遊んでしまう。
 生まれて初めて「碁でちょっとイケナイことをしているらしいおじ樣方」を目撃、少し大人になったような気分になる。Y様、色々とお世話になりました。また遊んでやってください。
某月某日
〜打ちたいだけ打つぞということにしたら人生はにわかに充実してきた。多少のことは世の中の方に我慢してもらう。そのぶんだけこちらが充実する。勤め先で同僚の石を三十目ぐらい取れそうなときに急用ができても、三十目を取ることを優先する。明日が原稿の締め切りだとわかっていても碁の呼び出しがあれば出かけてゆく。原稿は一日のばしてもらえばいい〜
 伊藤礼『パチりの人』から引用させていただきました。これは名著です。素人碁打ちの理想を余すところなく描ききっていて、「こういう者に私はなりたい」といつも思う。
 ご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、伊藤礼先生は作家・伊藤整の次男。知る人ぞ知るエッセイの名手で、『狸ビール』『まちがいつづき』などは、これはもう唖然とするしかない名エッセイ集です。もしかすると、オーバが今一番好きなエッセイストかもしれません。
 皆様方にも是非ご一読をお勧めしたい、と書きたいところなのだけれども、これが怪しからぬことにいまやすべて絶版なんですよ。ホンットーにもったいない。
 この際、どこかの版元が「伊藤礼エッセイ大全」みたいな本を出してくれないだろうか。不肖オーバ、お手伝いできることがあれば何でもいたします。
 それにしても我ながら「前向き」なことが考えられない人間である。実はそれはそれでたいして悪いことでもないと考えているらしい節もあるのだけれど、こんなこと書くとまたエイギョーに差し障りがあるかしらん?
某月某日
 フィレンツェ在住の知人、N夫妻が夏休みで帰国されている。「ニッポンのカラオケボックスたらいうものを案内いたせ」とのご下命なのでお供する。
 ここのところ当ブログは太田師匠の音楽話で盛り上がっているけれども、実はオーバ、筋金入りの大音痴、もしかすると文章以上に歌が下手糞である。案の定、何を歌っても画面には「採点できません」と表示される。いくら自他ともに許す音痴とは申せ、いささかへこんで帰宅。
 テレビをつけるとたまたま、みゆき様ご推薦の「サラリーマンNEO」をやっている。確かに悪くない。それにしても国営放送がこういう番組を作るっていうのも、ある意味の「成熟」ということなんでしょうか。
某月某日
 顔を洗っていると円形脱毛を発見。ちょうど碁石ほどの大きさである。分け目付近なので結構目立つ。はて、近頃なにかストレスでもあったかしらん、と考えるが、実は心当たりはいくつかある。あるんではあるのだけれども、ちょっとここでは書きにくい。
 ただ、こんなことならいっそ「断腸亭日乗」というタイトルにすれば良かったかな、なんて少し思ったりする……まさかね。

大場仁史