ゆっくり忙しい理由 [Miyuki Shoji]
表も裏もないB型なもんで、とってもわかりやすい性格ではあるのだが、「じつは……」ってことはいくつもある。たいていは隠していたわけではなく、言うまでもないとか、忘れてたとか、そうだっけ、程度の話。
だがこの件に関しては、意識して言ってこなかった。だって自信がなかったんですもの、私。いわゆる”高齢”だし、生まれて初めてのことだし、早くから人に話すと幸運が逃げるっていうし、プライベートなことだし。
カンのいいあなたならピンと来たでしょ。ええ私、妊婦なんです、今。
9か月くらいまで「いま5、6か月くらい?」とか「全然わからない」と言われ通しだったくらいちびっちかった腹も、さすがにこの頃は丸〜くなってきた。ケリもあればしゃっくりもある。お父ちゃんが帰ってくると元気いっぱいになるし、何となく性格らしきものもあるみたい。スウェーデンボルグとかシュタイナーじゃないけど、臨月の今、魂入っちゃってますっ。
世間のシリアスな方々(不妊治療に大枚を投じたり、計画出産をしたり、妊娠を視野にローン組んで家を建てたりなどなど)には申し訳ないというか何というか、前出の自力整体を始めて3か月くらいした頃、「何や体調エエけど生理もえらい軽なったなぁ、まさかこのまま更年期かぁ?」と自分で自分にツッコミを入れていたら、「おじゃましま〜す」といらしたみたい。思い切って行ってみた病院の超音波機械の画面に、ぴこぴこ脈打つ豆粒みたいな心臓が映ったのだ。
あまりにも驚いて「え゛、え゛〜っ」と叫んだら、「今は、試験薬が陽性だったら、ほぼ確実なんですよ」と冷静に言われてしまったが、帰り道でようやく、新しい生命を思って何ともいえない感慨に襲われた。
その数か月前にも、とある神社で「そろそろだそうですよー(神様がおっしゃるにはネ)」と言われて「えっ」と思いはしたけど、「40過ぎてるし、そう簡単には……」と、話半分だったのに。
以来、ホルモンバランス七変化の奴隷となった私は、かんきつ類(特に文旦)をむさぼり続けたり、塩のきいたマ◯ドナルドのフライドポテト(!)にクレイヴを覚えたり、食事をした直後なのに空きっ腹になったり、「何かカリカリしたもの」が食べたいのに何なのかわからず悶々としたり、バタくさい焼き菓子が食べたくてたまらなくなったり、やたら眠くなったり、抜毛がなくなったり、足がむくんで靴が入らなくなったり連日真夜中につって痛みにのたうったり、肌がツルツルになったり、重いものを持つとお腹や腰に来たり、腹の重さで恥骨結合が痛み始めたりと、目まぐるしい体調の変化を体験できた。今は小豆もの、餡ですね。
妙な食欲については、時期が過ぎると憑き物が落ちるように欲しくなくなるのも、まさにテキスト通り。個体とはいえ、同じ動物なのねーみんな、と実感する。
とはいえ私の場合、つわりも一切なかったし(ドラマみたいに「うっ……」「ま、まさかみゆきさんアナタ……」てな場面を期待してたんだけど、ただの1度もなし)、上記のようでも諸症状が軽すぎて本当にごめんなさいって程度なんですから、世の妊婦のダンナ様方、ぜひとも奥様にはこの際、尽くしてあげてくださいまし。
「明日できることは今日するな」とばかりにゆるめに暮らしているせいで出産準備が何もできておらず(短気な母と生真面目なところのある妹からは「ああもう、大丈夫なのっ」とガンガン言われることしきり)、今も締め切りが残っているため最近、お腹に向けて「ゴメン、まだ仕事終わらないからちょっと待ってて〜」と話しかけていたところ、病院で「ん? これじゃあまだまだだねぇ」と言われたばかり。
聞いてくれたんだね。すまぬ、ちびちゃん。これまで「準備できたら好きなときにおいで」と言ってきたのに、そんな言葉、反故にしっぱなし。大人なんてそんなものさ。
そういうわけで、のろのろしてはいるけれど、私とっても急いでいるんざんす。さっ仕事仕事、ガンバルよっ。
庄司みゆき


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