mercredi, novembre 08, 2006

私はさなぎ [Miyuki]

 蝶や蚕など、さなぎの時期を持つ生き物があります。
 イモムシとか毛虫のような幼虫を経てさなぎとなり、しかるべき時間が経つと幼虫とは似ても似つかない成虫に変態する、あれです。
 「完全変態」とよばれる変化だそうです。
 どうやらかれらは外見だけでなく、体内の器官からはたらきから、「さなぎ前」と「後」で、まったく異なるものになってしまうらしい。
 幼虫の頃にあった消化管や、蚕の場合なら蚕糸管なんかも、成虫ではまるっきり消失してしまっているという。
 「へー」と思ったら、手っとり早い確認方法(?)はさなぎを見つけて解剖してみることでしょうが、私にはちょっとできかねるので、物の本を当たってみました。

 学者ならずとも、好奇心旺盛かつ蛮勇をふるえる一般人で同じことを考える人はけっこういるらしく、「さなぎを開けてみました」という報告はいくつもあった。おそるおそる読んでみると、皆、異口同音に「ドロドロの液体が出てきた」という。
 つまり、幼虫はさなぎの中でいったん液状にまで溶け、アミノ酸レベルにまで分解されてから、成虫となる材料を提供するというのです。

 これはたとえば、幼虫にしてみれば、いったん死ぬのも同じことと言えるのではないでしょうか?
 幼虫と成虫、構成されている成分は同じでも、まったく異なる2つのモノ。さなぎになることによって、かれらは死に、そこから再び生まれ変わっているわけです。

 ヒトも、エネルギー不変の法則によって形を変え、時を超え、もしかしたら生き続けている存在なのかもしれません。
 完全変態する先を知らないから、恐怖におびえたり、嘆き悲しんだりしているだけかもしれません。
 私もいま、さなぎの状態に入っているような気がしています。

庄司みゆき