lundi, février 13, 2006

やっぱ、幽体離脱でしょう[Ota]

 前世、霊魂とくれば、やっぱ、幽体離脱でしょう。実はこの太田め、プレ幽体離脱とも言うべき経験があるのだ。この話をするとみんな「ほんとう?」だの「夢だよ」だのとニヤニヤ笑って信じてくれないのだが、あれが夢ならこのブログを書いている今も夢だ(ちなみに、僕はUFOを見たぞ。代官山で。ほら、笑った……)。夢と現実の区分って話になるとまた長くなるので、はい、先へ進みましょう。
 金縛り体質で、その金縛りが大嫌いでたまらない僕であるが、ある夜、眠っていると、またしても金縛りの予感に意識が戻り、恐怖に冴え冴えとした。案の定、からだが遠い、というよりも意識だけが肉体の奥深くの牢獄にとらえられ、身動きがならない(東京拘置所の堀江氏状態とも言えようか)。
 いつもだと、あー、ぎゃーと心で騒ぎ、もがいているうちに、からだのやつは「あっ、ごめん」みたいに戻ってくるのだが、その夜は違った。音が聞こえたのだ。それは誰かが遠くで吹く口笛のようでもあり、電子音のコンクリートミュージックのようでもあった。当時、ルドルフ・シュタイナーやグルジェフに凝っていたこともあって、恐怖心よりも好奇心がまさった。なぜか、この音に意識を向けると、何かが起こりそうな気がしたのだ。そう思うと同時に、音がしだいに大きくなり、それはまるで電子音の嵐のように聴覚を激しく揺らした。
 直後、僕は宙から自分を見ていた。1メートルくらいの高さから、布団に横たわる自分を見ていたのだ。だが、その「僕」は銀色に輝いていた。発光しているのではなく、内向する光といったらいいのだろうか、微細な銀色の光の繊維でできた僕自身がそこにいたのだ。輝いているのは僕ばかり。それ以外の布団も、部屋の様子も、まったく現実と変わりない。薄暗がりの中で、布団の模様も、家具のかたちも、まったく現実と同様に、はっきりと認識できた。
 僕は驚愕した。息を呑んだその瞬間、ぼくはまた視覚をふさがれ、金縛りの状態に戻った。かすかにあの音が聞こえていた。あれはなんだったのだろう、僕はいったいどうしたのだろう。そう思う間に、金縛りは解けた。
 後日、調べてみると、幽体離脱に至る共通の現象として、まずは金縛りがあり、そして僕が聞いたような不思議な音の洪水があるということがわかった。音は、アストラル体が肉体から離脱するときの振動が人間には音として感覚されるからだそうな。で、僕が見た銀色人間はエーテル体だと言うのである。
 ま、そういう説明はいろいろとあるものだが、数年後、僕は知人が開催した「幽体離脱講座3日間コース」にお金を払って参加した。と、ここまでいうと、いつもみんな腹を抱えてゲラゲラ笑うのだが、僕は本気だぞ!!
 というわけで、僕は人間の構造についてのヨーロッパ近代科学の見解は完全に間違っているという立場のものでありまするが、みゆきお姉様、輪廻転生・前世については、最近はかなり懐疑的であります。
 輪廻転生はシュタイナーも詳細に述べている(死後、魂はどういう旅路をへて転生するかをこまかく描写しているのだ)。シュタイナーによれば、今生の家族は前世で大人になってから自由意志で強い関係を築いた人間どうしとのこと。つまり、前世での夫婦や親友が今生では親子や兄弟になるのだそうだ。また、プラトンが国家論の中で蘇生した兵士の体験談として輪廻転生を物語っているのも有名な話だ(岩波文庫『国家(下)』第10巻の後半部)。
 輪廻転生は東洋的な思想のように思われているようだけれど、実はヨーロッパ的なんじゃないだろうかと僕は思ってしまう。確か、ブッダは死後のことについて語ったことはないのではないだろうか。禅宗もそうだし、一切空の仏教に個人のアイデンティティもへったくれもないのだから、輪廻のしようがない。縁起の観点から300年前のAさんと僕との関係というのはあるだろうけど、輪廻の主体ということになると、仏教は何も語ってはいないように思う(不勉強ゆえ、間違っていたらどなたかご指摘を)。
 そういうこともあり、輪廻転生には不死願望につながる人間中心主義のイメージを僕はどうしても感じてしまう。確かに人間は宇宙においては特殊な存在であるかもしれないけれど、同時にそれはあんまり優れた存在でもない。基本的に、みゆきお姉さんの倫理的見解には同意するものではありますが……。しかし、一回性の生というギリギリのスタンスのほうがいいのではないかと。カスタネダ物語るところのドン・ファンのように。
 あのう、僕はスティーブン・キングがあまり好きじゃないのです。ストーリーテラーとしては天才かもしれませんが、超能力者だの、悪魔だの、異次元空間だの、そういう超越的なものが必ず出てくる。自分も小説を書こうと夢見る乙女の僕は「ズルイじゃん!!」と思ってしまうのだ。超越的なものをひとたび出してしまったら、あとは作者の思うがまま。ダブル・バインドも含めて、あらゆることが許される。オウム真理教状態です。つまり、最後にウルトラマンが出てきてすべてを解決するようなもんです。でも、ウルトラマンのほうがエライ!! だって、3分間のうちに怪獣をやっつけないと死んじゃうんだから。この点が日本ですね、東洋ですね。超越的なものすらはかないのだ。ウルトラマンは本居宣長です。
 だんだん、自分が何を言ってるのかわからなくなってきたぞ!!
 で、あの、幽体離脱3日間コースですが、ちゃんと勉強しました。でも、実践していない。だって、やっぱり、金縛りが怖いんだもん……。
 閉じこめられたり、自由を奪われたりすることに、僕はものすごい恐怖をいだくのだ。もしかして、前世で、僕、牢屋に閉じこめられたりしたのかな? オレって前世で犯罪者? いや、前世はない、ないっ!!
 てことで、このての話、とっても興味ありなので、みゆきお姉さんのみならず、みなさま、どうぞ、ご参加を。僕も書きたいことが、この100万倍あるしぃ。

太田穣